「被害者でっちあげ 全国弁連の手口 福田ますみ Hanada-2023年7月号」(以下、「福田さんの文章」という)に対する批判・反論 その1

私は福田さんの文章のうち、青春を返せ訴訟についての記述について批判・反論する。Hanada-2023年7月号 305頁の中段3行目、「でっちあげ訴訟の集大成」の項から、306頁下段14行目までが青春を返せ訴訟についての記述である。
 福田さんの文章に私の名前は出てこないのだが、青春を返せ訴訟は私が名付け、日本で初めて提訴し、最後まで闘って成果をあげたものだから、それを「でっちあげ訴訟の集大成」と言われて、そのままにしておくことはできないからである。

 1987年3月19日提訴された札幌青春を返せ訴訟(統一協会の伝道・教化活動の違法性を問う訴訟)(以下、「甲事件」という)の控訴審判決は次のとおり、「保護」に関わる問題の解決の道筋を示している。

 被控訴人(元信者=原告=のこと)らはいずれも控訴人(統一協会のこと)を脱会(棄教)した者であり、脱会に至るまでの過程において親族らによる身体の自由の拘束等を受けた者も多く、このような拘束等は、当該被控訴人らとの関係においてそれ自体が違法となる(正当行為として許容されない。)可能性がある。しかし、それは上記のような行為をした者と当該被控訴人らとの関係であって、必要に応じて別途処理されるべきことがらにすぎず、このような事情が存在することは控訴人の被控訴人らに対する責任に何ら消長を来すものではない(むしろ、その終期をもたらしたものといえる。)。

 福田さんの文章が主張する「拉致監禁」という違法な行為があるのなら、その被害者が加害者に対して責任を追及することが当然できるのである。相手は、両親に限定されないので、弁護士が違法な行為にかかわっているとするのなら、その責任を問うことができる。しかし、「保護」にかかわって弁護士が訴えられた例としては最近の信者(統一協会側)敗訴事例(東京地裁 令和5年4月17日判決・控訴中)以外にあるのだろうか。
 そして、札幌青春を返せ訴訟の原告(元信者)らに関して言えば、「保護」を受けた原告らの全員が、親の「保護」行為の必要性を認め、親の行為に感謝しているのである。すなわち、親と原告である子どもらの間では、原告らが青春を返せ訴訟を提起するはるか以前に「解決」済みの問題なのである。札幌以外の「青春を返せ訴訟」についても同様であると思われる。「被害者」が認め、感謝しているのだから、「拉致監禁」などではなくなっているのである。
 

 以上のとおり、福田さんの文章は、青春を返せ訴訟の原告らについては、裁判所が示した解決の道筋どおりに問題がすでに解決していることに何ひとつ触れていない、まことに不公正なものなのである。