福田さんの文章批判 その5 「罵詈雑言による強制棄教」の誤り

 305頁下段 5行目から15行目について
 「(監禁された信者の70%は)罵詈雑言を絶え間なく浴びせられて、だまされていたと思い込む」と記述されているが、保護された札幌の原告達44名に関していえば、そのような事実は全くない。宮村峻さんがかかわった原告は1人もいない。キリスト教牧師達が関わった原告はいるが、罵詈雑言を浴びせられたという原告は1人もいない。裁判の場で、統一協会側の尋問でも、そのような事実は全く証明されなかった。
 
 札幌の原告らは、両親等との共同生活の中で、その愛に触れて自分の頭で考えることができるようになった結果、「ウソをついても物を買わせることがその人の救いのためである」との統一原理の教えは真理でないと判断することができて、統一協会を脱会するに至った人達である。したがって、福田さんの記述は札幌の原告に関しては完全に誤っているし、他の訴訟の原告についても誤っていると推測される。
 
 そもそも福田さんの記述する乱暴なやり方が、両親等がともに暮らしている場で行われうるものかどうか疑念がある。そして、そんな乱暴なやり方で4300名を越える信者(福田さんが主張する「拉致監禁」によって統一協会を脱会したという信者の総数)の信仰が変えられてしまったということはありえないと思う。統一協会は信者に対して「サタン→悪霊→反対派→両親によって、拉致監禁され、強制棄教させられる」と教えている。福田さんの記述するやり方では、信者は統一協会の教えの正しさを確信し、サタンらに対して敵愾心の塊となって対応することになる。そうなっては、自分の頭で考えることなどできなくなる。逆効果でしかないのである。

 「強制棄教(逆洗脳)」をさせられた場合は、洗脳された朝鮮戦争の捕虜達の例が示すとおり、自由な環境に戻った場合、洗脳された思想から、自然に解放されていくはずである。すなわち、青春を返せ訴訟の原告らが強制棄教によって、「統一協会にだまされていた」、「どんな嘘をついてもいい、それが正義だと思う」という「信念」を植えつけられたのだとすれば、自由な環境におかれれば、その「信念」から解放されるのである。その結果、統一原理が真理だという信念が復活し、統一協会に戻るはずなのである。


 札幌の青春を返せ訴訟の原告らは脱会後30年以上にわたって、市民として、普通の生活を送っている。誰1人として統一原理が正しいという者はいないはずだし、統一協会に戻った者は1人もいない。全国の原告達もほとんどそうであろう。

 以上のとおり、保護によって脱会した信者の70%について、「絶え間ない罵詈雑言による強制棄教」によって脱会したという福田さんの主張は、全く根拠がない。