福田さんの文章批判 その6 「(原告は)どんな嘘をついてもいい」と思っているとの嘘

5 305頁下段 後ろから5行目~306頁上段4行目について
 福田さんは、「(棄教した元信者は)教団に対して敵愾心を抱くようになり、どんな嘘をついてもいい、という心理状態に陥る」と記述している。
 私の体験している、札幌の原告らに関して言えば、「保護」によって、「教団に対し恨みや敵愾心を抱くようになり、教団を追い込むためなら何をやってもいい、どんな嘘をついてもいい、それが正義だと思う心理状態に陥」った人など、ただ1人もいない。嘘についてなら、起きたことはまさに逆である。「統一協会のためなら、どんな嘘をつくことも正しい、老人から老後のためのなけなしの財産を、嘘をついてでも、献金させることは正しい」という統一協会によって植えつけられた信念を、両親の愛情を契機として自分の頭で考えることにより、間違いであると理解することができた人達が原告なのである。それは、どこの青春を返せ訴訟の原告でも変わらないであろう。

 そして、「だまされていたと思い込むに至り、棄教する」ということから、「同時に」「教団を追い込むためならどんな嘘をついてもいい」という心理状態になるという記述には飛躍がありすぎる。「だまされた私が馬鹿だった」と思い、自分を責める人が大多数だろうし、「これからは嘘をつかないように人生を生きよう」と考える人もいるからである。

 「保護」の場は、本人が自分の頭で考えることを可能とする環境を作るためのものであり、そこでおこなわれるのは、アベルへ屈伏せよ、不信するなという、自分の頭で考えることを禁ずる統一協会の教義の呪縛から解かれて、本人が自分の頭で考えることであるから、「逆洗脳」などではない。

 福田さんのいう「どんな嘘をついてもいい」という心理状態に陥った元信者が法廷で「証言」したのであれば、練達の統一協会代理人弁護士が、いかようにも、その嘘を法廷で、暴くことができたであろう。そのための資料(アンケート・心情日誌・写真等々)を統一協会は持っているのだ。札幌の青春を返せ訴訟で、元信者の嘘が暴かれた例をぜひ指摘して欲しいものである。現役信者が統一協会から証人として申請されて証言している。現役信者が統一協会のために嘘をついた例なら、いくつも指摘することができる。

 「保護」された元信者原告の「証言」と「保護」されていない自然脱会の元信者原告の「証言」は一致しているし、マニュアルや受講ノートなどの客観的な証拠とも一致している。統一協会不法行為を裁判所に訴えるのに、元信者たちは自分達の体験をあるがままに語ればいいのであり、嘘をつく必要など全くないのである。

 

 福田さんの記述は根本的に誤っている。

 

心の拠り所となった「青春を返せ訴訟」

 NHK岡山の記者さんが「青春を返せ訴訟」に興味を持ち、わざわざ札幌までカメラマン、音響の担当者と3名で取材にきてくれました。それが、岡山で放映されました。ネットでニュースとして流れています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20230711/4020017250.html

 元原告の方にも取材に応じていただきました。合同結婚式に参加し、韓国に渡る直前に「保護」されて、脱会できた方です。両親が必死の思いで「保護」してくれなかったら、彼女の人生は全く別なものになっていたでしょう。
 
 自分が加害者にされ、加害行為のことを話すときには、いまでも涙ぐんでいました。35年以上前のことなのに、今はしっかりとその体験を乗り越えて生きているのに、です。
 
 北大の櫻井義秀教授は著書「統一協会」(中公新書)の中で「(元信者は)むしろ、自己の加害者性を強く意識し、人目を逃れるように生きざるをえなかった。そうした彼・彼女たちに堂々と胸を張って生き直すことを勧めたのが、・・・『青春を返せ訴訟』だった。」と述べています。
 
 元原告の方々は青春を返せ訴訟を闘ったこと、その訴訟で日本の司法が、統一協会の責任を100%認めてくれたことを心の拠り所の一つとして、その後の人生を生きています。

ツレがうつになりまして。(続き)

 この映画によって、私はうつ病の深刻さ、とてもやっかいな病気であることについて、不十分だけど少しは理解することができたと思う。感情の起伏の激しさやうつ症状の深刻さなど、自分がこの病気になったら、耐えたり、受け流したりしていくことができるだろうかと思ったし、身近な人が、うつだと判っていても、特別扱いしないで寄り添っていけるのかどうか、自信がないなぁと思った。
 何気ないのだけれども、心に刺さってくるセリフが多かった。脚本を書いた人が取材を重ねて、印象に残った言葉を大切に使ったのではないかと思い、その努力に共感を覚えた(続く。次回終わり)。

福田さんの文章批判 その5 「罵詈雑言による強制棄教」の誤り

 305頁下段 5行目から15行目について
 「(監禁された信者の70%は)罵詈雑言を絶え間なく浴びせられて、だまされていたと思い込む」と記述されているが、保護された札幌の原告達44名に関していえば、そのような事実は全くない。宮村峻さんがかかわった原告は1人もいない。キリスト教牧師達が関わった原告はいるが、罵詈雑言を浴びせられたという原告は1人もいない。裁判の場で、統一協会側の尋問でも、そのような事実は全く証明されなかった。
 
 札幌の原告らは、両親等との共同生活の中で、その愛に触れて自分の頭で考えることができるようになった結果、「ウソをついても物を買わせることがその人の救いのためである」との統一原理の教えは真理でないと判断することができて、統一協会を脱会するに至った人達である。したがって、福田さんの記述は札幌の原告に関しては完全に誤っているし、他の訴訟の原告についても誤っていると推測される。
 
 そもそも福田さんの記述する乱暴なやり方が、両親等がともに暮らしている場で行われうるものかどうか疑念がある。そして、そんな乱暴なやり方で4300名を越える信者(福田さんが主張する「拉致監禁」によって統一協会を脱会したという信者の総数)の信仰が変えられてしまったということはありえないと思う。統一協会は信者に対して「サタン→悪霊→反対派→両親によって、拉致監禁され、強制棄教させられる」と教えている。福田さんの記述するやり方では、信者は統一協会の教えの正しさを確信し、サタンらに対して敵愾心の塊となって対応することになる。そうなっては、自分の頭で考えることなどできなくなる。逆効果でしかないのである。

 「強制棄教(逆洗脳)」をさせられた場合は、洗脳された朝鮮戦争の捕虜達の例が示すとおり、自由な環境に戻った場合、洗脳された思想から、自然に解放されていくはずである。すなわち、青春を返せ訴訟の原告らが強制棄教によって、「統一協会にだまされていた」、「どんな嘘をついてもいい、それが正義だと思う」という「信念」を植えつけられたのだとすれば、自由な環境におかれれば、その「信念」から解放されるのである。その結果、統一原理が真理だという信念が復活し、統一協会に戻るはずなのである。


 札幌の青春を返せ訴訟の原告らは脱会後30年以上にわたって、市民として、普通の生活を送っている。誰1人として統一原理が正しいという者はいないはずだし、統一協会に戻った者は1人もいない。全国の原告達もほとんどそうであろう。

 以上のとおり、保護によって脱会した信者の70%について、「絶え間ない罵詈雑言による強制棄教」によって脱会したという福田さんの主張は、全く根拠がない。

ツレがうつになりまして。

 BSで放映されていたので、録画して見ました。
 主人公は、電車と電話がダメになったようですね。私が心臓神経症(治療を受けていないので私が自分でつけた「病名」です)になった時は、電車と新聞でした。大分回復した頃、仕事で電車に乗ったのですが、あえなく途中下車して帰ってきました。新聞がダメでした。自動車事故の記事などを読むと、事故の状況が脳裏に浮かびあがってきて、耐えられないのです。
 公園で「生きていける」と思えた後も、寝ることができないのではないかという恐怖心が夕方ころからジワジワと湧いてきました。そんなときは、奈落に落ちていくような感覚です。落ちていくことを防げるものを探しました。私の場合、音楽が少しの浮力を与えてくれたように思います。少しでも本当にありがたかったです。後から、死ぬ前には必ず眠れる(正しかどうか判りません)という言葉を本で読んだので、その言葉に縋っていたように思います(続く)。

福田さんの文章批判 その4 「数名を除いて、拉致監禁」の誤り

3 305頁中段末尾行から下段4行目
 「この180名の原告は数名を除いて、拉致監禁等により強制棄教させられた元信者たちだった」という記述の根拠は何なのだろうか?なにも示されていない。
 札幌青春を返せ訴訟の甲事件において、「部屋から自由に出入りができない状況にあった」と判決で認定されたのは、20名中12名である。私は、原告本人達が陳述書に「保護」された事実を書いてきた場合、それをそのまま裁判所に提出しているし、統一協会代理人はその点を熱心に尋問していたから、裁判所でそのような認定がされているのである。
 すなわち、甲事件では保護されていない元信者が原告中4割・8名いる。甲事件の原告らは福田さんの180名にカウントされているはずだから、「原告は数名を除いて、拉致監禁」という主張は、これだけでも破綻している。8名を数名とは言わない。

 乙事件では元信者原告40名中10名、丙事件では新規元信者原告4名中2名が保護されていない。したがって、甲・乙・丙事件の元信者原告64名中20人が保護されていない。乙事件と丙事件の元信者原告数44名を福田さんのいう原告数180名に加えると224名で、そのうち最低限でも20名(札幌の分だけ)は保護されていない原告なので、「原告は数名を除いて、拉致監禁」という主張は、この点でも破綻している。
 札幌の3事件では、保護されていない原告の割合は31%、およそ3人に1人が保護されていない原告である。他の地域の訴訟の原告の構成が札幌の訴訟と大きく違う根拠はないから、3人に1人という基準を当てはめると180名中60名は保護されていない原告のはずである。
 どう考えても、福田さんの断定は、破綻を免れない。

もう、ご自分を責めないで

昨夜の報道1930で、青森事件(霊感商法のやり方が恐喝であるとして統一協会の信者3名が有罪となった事件)の被告だった方が体験を告白していました。当時28歳、34歳で「文鮮明の生活ぶりとのギャップに悩み」統一協会を脱会したといいます。現在67歳ですが、事件について「後悔ですね。本当に申し訳ないことをしたなぁという思いで一杯です。」と語っていました。

 30年以上ずっと、罪の意識に苦しめられてきたのだと思います。統一協会を辞めることは堕落であり、精神的な死であり、死んだら地獄行きという、教義による恐怖、にも苦しめられてきたのではないかと思います。

 霊感商法で利得を得ていたのは統一協会であり、そのために、「神の国を作るため=救いのために万物復帰」という教義を信者に信じさせ、信者に正しいこととして霊感商法をさせていたのは統一協会なのです。

 もう、ご自分を責めないで、と呼びかけたいと思います。